「……ちょっと、ヤバイかな。……」
洗面所の鏡を覗く。
その顔は、いかにも眠れませんでした。と言う事を物語っていた。
あの後、の言葉が気になり、一向に眠ることが出来なかった。
「……これじゃ、冬獅郎どころか、乱菊さんや、他の隊員にも言われちゃう。」
はぁ。と溜息をつきながらも、
はその顔を少しでも引き締まったものにする為、冷水を顔へと浴びせた。
ユキマチ ソウ
「三席、おはようございます。」
「…おはよう。早出、ご苦労様。」
早出の隊員たちに挨拶を交わし、既に出勤している日番谷の元へと走り寄る。
「隊長、おはようございます。」
「おはよう。。……早いな。」
先程、挨拶を交わした隊員たちには気付かれなかったので、そのまま日番谷にも挨拶したのがいけなかった。
挨拶を交わし、顔を見た瞬間、日番谷の眉間に皺が寄せられる。
「……。あれから、眠ったのか?」
近くに隊員がいない事に加えて出勤時間にはまだ、幾分早い事から、
日番谷の言葉使いは上司のものではなかった。
「………眠りました、よ?」
やはり、日番谷には隠せなかったか。
そんな気まずい思いからはゆっくりと日番谷から視線を外しながらそう答えた。
「……じゃぁ。その目の下にある隈はなんだ?」
溜息と一緒にそんな質問が投げかけられる。
「…………。」
「…。」
ゆっくりと名を呼ばれる。
「眠っとけって、言ったよな?」
どうして、この人には隠せないんだろう。
そんな思いから、チラリと日番谷を盗み見る。
いつものように腕組みをし、の答えを待っている日番谷。
本当の事など言えるわけもなく、はただ、黙り込んでしまう。
「……お前。本当に大丈夫か?」
その様子を黙ってみていた日番谷だったが、よほど酷い顔に見えたのだろう。
日番谷手が伸ばされ、の頬に触れてくる。
「……大丈夫。」
日番谷のその手に、自分の手を重ねる。
その温かさに、どこか安心させられ、そう答えた時だった。
「……朝から、見せ付けないでくれません?」
その声に視線を向けると、どこか呆れた風の副官・松本乱菊が立っていた。
「ら、乱菊さんっ!!」
まだ、出勤時間ではなかった事と、日番谷のその手の温もりにより、少し気を緩めていたは、
乱菊の霊圧を探る事が出来なかったのだ。
慌てて、日番谷に重ねている手を外し、日番谷の手からも逃れる。
「…あら。別に避ける事ないじゃないの。。
ほら、が離れちゃったから、隊長が残念がってるじゃない。」
「……松本……お前な。」
「あら、だってホントの事じゃないですか?
が手、離したら残念そうな顔、してましたよ?隊長。」
「……………。」
松本のその発言に日番谷は思わず黙ってしまう。
「あら、黙ったって事は、図星ですね隊長。」
「松本っ!!」
口に手を当て、からかい続ける松本に、日番谷はとうとう怒鳴り声を上げる。
「やだ。隊長たら。そんなに怒鳴らなくてもいいじゃないですか。
私は、ホントの事を言ったまでですよ?」
「…………勝手に、言ってろ。」
そう漏らすと、日番谷は隊員を呼び集めた。
「全員、揃ったな。……これより王印の警護に付く。
ただし、護衛と言っても目立った行動は避けるように。いいな。」
隊員を見渡し、日番谷が静かに告げる。
その言葉に隊員たちも静かに頷いた。
「護衛場所は空座町のある一角だ。 結界はすでに鬼道衆によって張られている。
あちらに着き次第、各班に分かれて行動。再度繰り返すが、決して目立つな。
……出る事も、だ。………いいな。」
「「「「はっ。」」」」
隊員たちの返事に日番谷は静かに頷くと、を見る。
「……。決して無理はするな。………いいな。」
日番谷の言葉使いが、普段のものから、上司のものへと変化する。
「………はい。」
もそれに習い、部下のものへと対応を改めた。
の返事を聞いた日番谷は頷くと解錠し、門をくぐる。
その後を、松本・と続いて行く。
――――
王印が奪われるまで、
あと、――――
二時間。

とうとう、始めてしまいました。
映画「The DiamondDust Rebellion―もう一つの氷輪丸―」
の夢小説。
ヒロインが出るので、オリジナル要素も含んでいきますが、
あの映画のイメージを壊さないよう頑張りますので、お付き合いの程、
よろしくお願い致します。