ユキマチ ソウ









静かに眠りに付いた尸魂界。



一人の男がとある屋根の上に佇んでいる。

「…日番谷たちの様子はどうだった?」

振り向く事無く、背後へと語りかける男。

「…はっ。お察しの通り、護廷十三隊とは連絡を取っていない模様です。」
「…どうされますか?…今のうちにこちらへ引き込みますか?」

その場に膝を付き、日番谷の現世での様子を語っているのは、インとヤン。
今日一日、二人の様子を伺っていたのだ。

もちろん、霊圧感知に優れているが傍にいるのだから、
気付かれないよう、二人の様子を探るのは、細心の注意が必要だった。

現に、は二、三度こちらに気付いた風の様子を見せた。
それでも、日番谷に何も言わなかったことからすると、
こちら側につくという意思をみせているのだろう。と、インとヤンは思っていた。

それが、の企みだとは気付かずに………

「……いや、護廷十三隊と連絡を取っていないのなら、焦る事も無いだろう。
 もはや、日番谷は、俺と行動を共にするしか道は無いのだからな」

インとヤンの報告を受けたその男は、どこか笑いを含んでいるような声で答える。



男の顔には白い仮面。


そう、日番谷にその手にある刃で傷を負わせ、王印を奪っていったその男だった。


インとヤンの方へ振り向く事無く、その男がさらに呟いた。

「……もちろん、日番谷と行動を共にしているもな。」

くくく。

そんな笑いと共に、視線を下へと落とす。

その、男が見下ろす視線の先には………



――― 瀞霊廷。